機械学習とビッグデータの活用…TikTok Adsの事例 座談会ではゲーム内施策とマーケティング施策の連動についても
D2C Rは2019年3月1日(金)、イベント「#MarketingLIVE Vol.3」を開催。アプリデベロッパー、アプリプロデューサーを対象に、「人気タイトルが取り組むファンマーケティングの裏側に迫る」をテーマにした講演が行われました。
登壇したのはコットン太郎氏、株式会社ミクシィの明畠利樹氏、ByteDance株式会社のマーク・マオ氏の3名で、人気タイトルのファンマーケティングを実際の事例を踏まえて紹介しました。
【前半記事】
■重要度が高まるファンマーケティング施策の手法とは #コンパス、モンスト、TikTokの事例が明らかになった「#MarketingLIVE Vol.3」を取材
▲ByteDance株式会社 Revenue Partnerships Division Director マーク・マオ氏
最後にマーク・マオ氏が登壇し、TikTokを事例にファンマーケティングについて語ってくれました。
そもそもTikTokとは、誰もが気軽に15秒程度の動画を作成、共有できるモバイルショートムービープラットフォームです。日本のユーザーが好む芸能、生活記録、ゲーム、ペットなどの多様なコンテンツが存在し、ユーザーの興味とコンテンツをつなげる、人工知能による“おすすめ機能”などが強みです。
ユーザー層は、女性かつ若年層中心の広がりが印象として強いですが、コンテンツの多様化により20代後半~30代の男性の利用も増えてきたとのこと。利用頻度では、平均的なユーザー1日の使用時間が41分に。動画の長さで換算すると1日に約170コンテンツが閲覧されていることになり、夢中になる様子がうかがえます。
また、ユーザーが流行に敏感であり、約半数が動画投稿に参加したことがあるなど、拡散力の高さが特徴として挙げられました。広告の運用という視点からも、質が高いという評価を受けているようです。
▲世界150か国で展開していることから、膨大な量のデータが応用されています。
実際に運用されているインフィート広告の特徴として、下記の3点を挙げました。
・縦長の全画面広告であることで、印象に残りやすい
・自動再生で動画視聴効果がアップする
・強いインタラクティブで、インパクトの強いソーシャル感がある
▲「どのようなものがどこに表示されるかを意識してクリエイティブをつくると効果が高くなる」とMao氏。
また、目標CPAに対して入札価格を自動的に最適化する機能・oCPCを採用しており、CPAの改善・獲得ボリュームの増大・工数の削減など、より効果的な広告配信ができるようになります。
▲CTRとCVRを掛け合わせたうえでCPAに合わせていくもので、精度も高くなる。
TikTokの特徴でもある「バズる」動画を作ると、驚くような高い効果もでるそうです。マーク氏は「ドラゴンボールで例えると“スカウターがパリンと割れるような感じ”」と表現。ゲームの相性もあると思いますがと前置きし、「(動画が)当たった時はとても面白い結果になると思います」とまとめました。
イベントの最後は、進行役に株式会社D2C Rの伊藤大悟氏を迎え、登壇した3名がパネルディスカッション形式でトークを進めました。
最初のお題は「ゲーム内施策とマーケティング施策の連動について」。
コットン太郎氏は、自身のネット番組を例に、アップデートで追加されるマップを事前に放送班でプレイして見せることを挙げました。また、『#コンパス』ではキャラクター毎に絵師(デザイン担当)・ボカロP(キャラクタの音楽担当)がついているため、新キャラクター追加前に担当の方に出演してもらうなどの取り組みも紹介。さらに、番組の中で新しいインフルエンサーの開拓もしているそうです。
明畠氏はデジタルマーケティングの領域で、追加されるキャラクターを事前に広告で認知しておくことや、キャラクターのイベントが始まったときに、まだ持っていないユーザーにアプローチをかけることなどを挙げました。アクティブユーザーはゲーム内ニュースを見てくれますが、休眠ユーザーは認知できないので、そこに伝える必要があると続けました。
お題は変わり、「ユーザーと動画を通じてどんなコミュニケーションをとればよいか」に移りました。
マーク氏は「いろいろな試行錯誤が行われているが、まだこれといった必勝パターンは出てきていません」とコメント。続けて“起承転結”がはっきりしているものが一番のキーワードとし、広告感が出すぎないようなクリエイティブづくりを語りました。また、中国などの成熟したコンテンツを参考にしてつくることもおすすめしました。
コットン太郎氏は生放送している側の観点で、生放送特有の双方向コミュニケーションを大事にすることを挙げました。リアルタイムで演者と視聴者が対戦するなど、生放送でしかできない楽しさを重要視しているそうです。
次に「ユーザーの声をどのように活用しているか」というお題になりました。
明畠氏は、ゲーム内のアンケートから求められているものを全体に共有、ターゲティングの参考にしていると回答。
コットン太郎氏はイベントなどの体験を通じて、ユーザーに発信してもらうことを意識しているそうです。「どうしたら発信してくれますか」という質問には、「経験上、発信するように呼びかけると発信してくれます」とコメント。『#コンパス』のゲーム機能自体に掲示板があるなどSNS要素が強いため、発信することのハードルが低いのだそうです。
マーク氏は機械学習を強みに持っているという背景から、機械学習の精度を生かしてユーザーの興味があるものに近しいものを表示させている、とのことでした。同時に時折近しくないものも出して反応も見ているそうです。また、広告をスワイプしたかどうか、視聴率なども、コンテンツやマーケティングに生かしているそうです。
最後に、それぞれ今後の展望について質問。
マーク氏は「今年はユーザーの認知度アップと、コンテンツの多様化のふたつに注力しています。生活感のあるコンテンツづくりを引き続きやっていきます。そして、TikTokは、マーク自体が音符であるように、“音”に重点を置いています。広告プラットフォームとしてはクライアントさんに“音”にフォーカスしてほしいと思っています。バズるとCPAはもちろん、DL数もかなり取れるので、バズる動画を意識してクリエイティブを作っていただければと思います」とコメントしました。
コットン太郎氏は「10年ほどゲーム業界でコミュニティを作りながらやってきましたが、お客様に対するファン活動をもっと深掘りしてもいいかもと思っています」とコメント。音楽や短編アニメなど、ファン活動をもっと活発にすることで、ファンにもっと楽しんでもらい、横のつながりも広げていってもらう狙いがあるそうです。
明畠氏は「自社のデータを生かし、企画チームとの連携を増やし、ファンとはどういう人たちかを知りながら広告施策化していくことをやっていきます。今後それをデジタルマーケティングだけでなく、いろいろなマーケティング全般に広めていきたいと思います」とコメントしました。伊藤氏から、「エンジニアの方と一緒やっていくうえでコツはありますか」と質問。明畠氏は「正解はないと思うので、コミュニケーションが大事だと思っています。人によって違うので、エンジニアを怖がらないことが大事です。」と回答しました。
以上でセミナーイベントは終了し、「今後も定期的に#MarketingLIVEを開催していきたいと思いますので、ぜひご参加ください」と締めくくられました。
その後、会場では情報交換の場として懇親会が開かれました。
【前半記事】
■重要度が高まるファンマーケティング施策の手法とは #コンパス、モンスト、TikTokの事例が明らかになった「#MarketingLIVE Vol.3」を取材
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