ジークレスト「Girls Game MEETS 長く愛される女性向けIPづくりの秘訣」を開催 女性向けゲーム誕生秘話や長く愛されるIPのつくりかたを語る – Sp!cemart News

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ジークレスト「Girls Game MEETS 長く愛される女性向けIPづくりの秘訣」を開催 女性向けゲーム誕生秘話や長く愛されるIPのつくりかたを語る

株式会社ジークレストは、2019年2月8日(金)、イベント「Girls Game MEETS 長く愛される女性向けIPづくりの秘訣」を開催しました。

 

第5回目の開催となる本イベントは、女性向けゲーム業界の発展を目的に、女性向け作品に携わるクリエイターの方との交流をメインとした、ジークレスト主催のイベントです。イラストレーター向け、シナリオライター向けなど、毎回テーマを変えて開催され、今回は企画職向けのイベントとなっています。

 

前半はコーエーテクモゲームス取締役で、女性向けゲームブランドである“ルビーパーティーブランド”のブランド長を務める襟川芽衣氏と、『遙かなる時空の中で』、『金色のコルダ』のプロデューサーを務める松濤明子氏の二人が登壇し、後半はジークレストの取締役で『夢王国と眠れる100人の王子様』の事業責任者である礎考宏氏を加えた三人でパネルディスカッションを行いました。

 

▲株式会社コーエーテクモゲームス 取締役 ルビーパーティーブランド長 襟川芽衣氏

▲『遙かなる時空の中で』、『金色のコルダ』のプロデューサーを務める松濤明子氏

 

 

 

■女性向けゲーム誕生秘話

まず襟川氏は「長く愛される女性向けIPづくりの秘訣」というテーマについて語るうえで欠かせない、「女性向けゲーム誕生秘話!」という題で、ルビーパーティーブランドの歩みを振り返りました。

 

 

ルビーパーティーブランドとは、『アンジェリーク』をはじめとした女性向けゲームを中心に開発している、2019年9月で25周年を迎える歴史の長いブランドです。現在5つのシリーズが展開中で、ほかにもメディアミックス施策や、『FabStyle』『進撃の巨人 死地からの脱出』などのアドベンチャーゲームも開発しています。襟川氏はブランド長として、すべてのタイトルの統括プロデューサーを担い、タイトルの方向性だけではなく、ビジネス面でも最終的なジャッジを下すとのこと。

 

 

 

■アンジェリークができるまで

▲1994年9月23日にスーパーファミコンで発売された、世界初の女性向けゲーム。

 

次に、女性向けゲームの元祖と言われる『アンジェリーク』ができるまでの話に移りました。『アンジェリーク』は高校生の女の子が宇宙を統べる女王の後継者候補に選ばれ、ライバルと競う恋愛育成シミュレーションゲームです。

 

▲女王試験には守護聖と呼ばれる9人の男性が関わり、交流を深める中で恋が芽生え、女王試験との間で揺れることになる。

 

『アンジェリーク』は決してすんなり完成したゲームではなく、開発に10年以上を要したそうです。1980年代のゲームといえば、PCで遊ぶ、シミュレーション・アクション・シューティングがメインで、女性が入りこむ余地がなかった、と襟川氏は述べました。

 

当時、光栄(現:コーエーテクモゲームス)では、『信長の野望』などの歴史シミュレーションを開発しており、ユーザーのほとんどが男性でした。そんな当時、現コーエーテクモホールディングス代表取締役会長の襟川恵子氏は次のような言葉を述べました。

 

 

襟川恵子氏は、女性向けゲームの市場がなかった時代に、「ないなら自分で作る」と言い、新たにプロジェクトを立ち上げました。1983年にファミリーコンピュータが登場し女性の開発者も徐々に増えたことで90年代にルビーパーティーが始動。『女性による女性のためのゲーム』として、まず第1作目は女性の好きな要素をたくさん詰め込んだそうです。

 

しかしながら、ゲームシステムが面白くないという問題も勃発しました。お使いゲームのようになってしまったシステムを改善する為に、『信長の野望』などで知られるシブサワ・コウ氏が参加し、格段にゲームが面白くなったと続けました。

 

 

10年以上かけて発売した『アンジェリーク』ですが、当時はまだ女性向けゲーム市場がなかったため、発売後すぐには結果が出ませんでした。しかし、「面白いゲームがある」と一般紙に取り上げられるようになり、徐々に人気を拡大していったそうです。

 

それまでマンガ・アニメの男性に対して一方通行な思いを抱いていたのが、キャラクターと双方向の関係性を築けるようになったところが、『新たな感動体験』として人気になったと説明しました。

 

▲「プロトタイプ版をプレイしていたにもかかわらず、私自身めちゃくちゃハマりました」と襟川氏。

 

また、守護聖9人のキャラクターたちが予想以上に人気になり、スタッフは驚いたそうです。ファンのキャラクターに対する熱量の高さを感じ、襟川恵子氏はもっとキャラクターをいろいろな角度から見てもらい、ファンに喜んでもらおうと提案。そしてキャラクターソングやドラマCDを発売し、ファンのキャラクターに対する愛情も深まり、タイトルの人気に貢献したそうです。

 

 

今でこそ当たり前になっているメディアミックスですが、もともとはより多くのファンに喜んでもらうために始めたものだったとこの話をまとめました。

 

 

 

■ユーザーニーズを深く考えるきっかけ

『アンジェリーク』の成功を受け、次回作を作ることになったところで、ひとつの失敗がありました。攻略対象となる男性キャラクターをそのままに、1と2で主人公(ヒロイン)を変更したことでファンを悲しませてしまったのです。

 

 

この一件から、ただ単にファンに喜んでもらおうということではなく、しっかりとユーザーニーズを把握したうえでゲームに落とし込んでいかなければならない、と続けました。

 

「ナンバリングを重ねて、『アンジェリーク』は今年の9月に25周年を迎えます。これはファンの皆さんがあってこそです。続けていけるだけのファンが今でもいるということはとても幸せなことだと感じています」と女性向けゲーム誕生秘話をまとめました。

 

 

 

■長く愛されるIPづくりに必要なこと

次に、25年間を通じて、長く愛されるIPづくりに必要な3つのポイントを挙げました。

 

 

キャラを思い出にさせるのではなく、「今大好きなキャラ」にしてもらえるように継続的に展開を続けてファンの心を離さないこと、かつ飽きさせないような程よい距離感、メリハリが大事だと説明しました。

 

また長く続けるためには、1作目のことだけを考えるのではなく、次回作のことを見据えて作ることが大切で、社内に資料を残して、自分と同じ意思と熱量を持った部下を育てることも大切だと考えている、と続けました。メディアミックスなどを展開していくと自分ひとりで監修することには限界があること、自分がそのタイトルに10年、20年と携わり続けているかはわからないことから、次の世代を育てておく土台作りの大切さを説きました。

 

そして、「目の前のことに一生懸命になりすぎると、ファンあってのIPということを忘れがちになってしまいますが、誰に向けて何を感じて欲しいのかを念頭に置いて、ファンを大事にしていきたい」とコメントしました。

 

最後に25周年を迎えるルビーパーティーの今後について、スマーフォン向けのタイトルの話、家庭用をもっと盛り上げていきたいという話題に。「これからもユーザーの皆さんに新しいときめきや幸せを感じてもらえる作品を作り、30周年、40周年と続けていけるように頑張っていきたいと思います。今日お話した内容が皆さんのゲーム開発のヒントあるいは何かの役に立てれば幸いです」と締めくくりました。

 

 

 

■『遙かなる時空の中で』『金色のコルダ』から見る長く愛されるIPのつくりかた

続いて松濤氏が登壇し、自身がプロデューサーを務める2作を例に「長く続くIPのつくりかた」についてプレゼンしました。

 

まずは『遙かなる時空の中で』の概要について。1998年から開発を開始し、2000年に第1作が発売された同作は、龍神の神子として選ばれた主人公が、八葉と呼ばれる男性とともに世界を救い、切ない恋をするというのがテーマの和風恋愛アドベンチャーゲームです。

 

▲派生タイトルを含めると20タイトル以上が発売されています。

 

こうした長いシリーズのなかで、松濤氏がメインプランナーを務めた『遙かなる時空の中で3」を取り上げて、シリーズをどう続けていくのかを語りました。

 

 

発売したのが2000年代当時のため、今では当たり前になっている手法についてお話することになると前置きしたうえで、全体的な考え方の流れを説明しました。

 

1→2の時代設定が平安中期→平安末期と100年の間隔が空いていることから、同じく100年の間隔が一番受け入れられやすいと考えた松濤氏。そして、今まで触れてこなかったお客様に対しても、モチーフとして魅力的であることがIPの拡大において重要であると続けました。そのうえで、2004年12月の発売時期は、翌年に大河ドラマ「義経」が放送されることが決まっていたため、源義経の認知が高まるという期待に着目をしたそうです。それらの背景から源平合戦がテーマに決まりました。

 

戦乱の世であることから、歴史群像劇としても新しい切り口で切ない恋を描けると考え、選択したと説明。

 

また、女性向けゲームというとどうしても「萌え」の部分だけに注目されがちだと指摘。10万本以上を売り上げるためには、一般層にアプローチをすることが大事だとコメントしました。

 

そこで、一般女性の好みをとらえた、広いユーザーニーズを取り上げるようにしている、と松濤氏は続けました。

 

 

また、より大きくIPを拡大していく戦略として、ゲームとしての完成度を重視しているそうです。それまでのシリーズは、アドベンチャーとシミュレーション、ミニゲームの3つの要素があわさったゲームサイクルで回していたところに、『遙かなる時空の中で3』では多くのユーザーニーズを見込めるRPGの要素を強くしている、と松濤氏。

 

さらに2004年当時の女性向けゲームにはあまりなかったキャラクタールートの概念を取り入れ、新しい驚きの提供や、『真・三國無双』シリーズのような“強くてニューゲーム”を実装することでの遊びやすさなどでシステム面でも支持を頂けた、と続けました。

 

 

これらの新しい要素を取り入れるときに、何が重要かを見極めることが限られた開発費用を使っていく中で大切だとコメント。

 

その点で、今までは1キャラクターにつき2ルートあったエンディングを1ルートに絞るかわりに、丹念に描くことに集約した、という例を挙げました。

 

 

その後、今の女性向けゲームでは当たり前になっているが、ファンディスクの展開を続け、お客様の気持ちを途切れさせずにいたことで、本編と同程度の売り上げを出すことができた、と本編を出した後の展開について説きました。

 

以上から、シリーズとして大切にしていたことを引き継ぎながらもアップデートを行っていくこと、コアなニーズに偏らない一般女性に向けた感覚、リリース速度が重要だとまとめました。

 

次に『金色のコルダ』の話に移りました。『金色のコルダ』シリーズは2003年の発売から15周年となり、4つのナンバリングタイトルが発売されています。ヴァイオリニストの女子高校生の主人公がコンクールやコンサートなどで努力する中で、演奏家の男性たちとライバルになって競い合い、恋を育む恋愛・育成シミュレーションゲームです。

 

 

この2010年の女性向けゲーム市場は、2004年と比べて非常に多くのタイトルがリリースされていました。『金色のコルダ』シリーズもIPの拡大に向けて、既存のユーザーを大事にしながら、新規ユーザーを獲得するためのチャレンジが必要でした、と松濤氏。

 

 

『金色のコルダ』は同じキャラクターで続編を作ることが最初から予定されたシリーズで、3部作が完結したため新しいキャラクターでの展開が必要な状況だったと説明しました。

 

そこでシリーズで引き継ぐ『金色のコルダ』の骨子となるものをあらゆる方面と話し合い、決めたそうです。

 

 

一方で、同じテイストによるマンネリ感を避けるために新た要素を追及した、と続けました。

 

 

そして多くなったキャラクターを覚えてもらうために、当時は珍しかった試みとして、キャラクターたちをグループに分け、カラーリングやコンセプトを分配することでグループを通してキャラクターを覚えてもらう仕組みを構築しました。

 

 

シリーズファンと新しいお客様のどちらにも楽しんでもらえる試みが、長期に続くIPを検討するうえで重要なことだと語りました。

 

この既存ファンへのおもてなしと新規ファンへのおもてなし、そして速度感のバランスが大切なことだとまとめました。

 

 

最後に、これから両作の20周年に向けて、「女性向けゲームの発展に貢献していけたらと思います」と締めくくりました。

 

 

 

 

■長く愛されるIPづくりの秘訣 – パネルディスカッション

後半のパネルディスカッションには礎考宏氏を加えた3人で行われました。テーマ「長く愛されるIPづくりの秘訣」について対談した様子をお届けします。(質問は司会者が担当)

 

▲ジークレスト取締役 『夢王国と眠れる100人の王子様』事業責任者を務める礎考宏氏

 

 

――:IPづくりにおいて一番大切にしていることを教えてください。

 

襟川:私はテーマを一番大切にしています。誰に向けて、どんな体験をさせようとしているのか、またその表現をテーマに入れ込めているか。そこがブレていると、ゲーム全体が揺らいでしまします。だからこそ、テーマが一番の核だと考えています。

 

松濤:漠然とした言い方になりますが、「手触り感」を大事にしています。概念として言葉に落とし込んだものと、実際にゲームをプレイしたときの感触が合致しているか。また、「手触り感」は自分ひとりではなく、ユーザー様からどう認知されているかを知っておくことが大切です。もうひとつ、キャラクターはIPの核になるので大事にするべきだと思います。

 

――:マネージャー目線とクリエイター目線でかなり違いますね。

 

:違いますね。僕はマネジメント側の人間なので襟川さんに近い考え方です。『夢王国と眠れる100人の王子様』は「女性を元気に」というコンセプトで制作しているのですが、ファンに魅力と感じてもらっていて、社内でも大切に守っていきたい価値観をコアバリューと呼び3つ定義しています。

それぞれ、

① 「王子様と姫体験」というラグジュアリー感や、非日常感を提供できるところ
② 恋愛要素だけでなく、キャラの成長やキャラ同士の関係性といった「キャラに萌える」ところ
③ 誰でも楽しめる「かんたんパズル」

と考えています。

 

――:ありがとうございます。つぎに、キャラクターの設計と生み出し方を教えてください。

 

松濤:『遙かなる時空の中で』では、八葉と呼ばれるキャラクターが登場します。これは八卦と言われる東洋思想の概念に基づいて、青龍・朱雀・白虎・玄武の四神に、天・地の男性キャラクターが2名ずつ配置され、それぞれが絆を深めていくような設計になっています。それによってバランスが取れたキャラクターの特徴付けができています。

また、『金色のコルダ』ではトランぺットやヴァイオリンといった楽器のイメージがキャラクターのバックグラウンドにあり、そうした音色・曲から得られるイメージでバリエーションを取っています。

一方で、こういったものをコアメンバーだけで考えていくとどうしても偏りが生じてしまい、広いお客様に訴求することが難しくなります。しかし漠然といろいろなキャラクターを作ることも難しいので、弊社では多くの女性のスタッフがいることを生かし、スタッフを対象にして具体的に刺さる作り方をしています。例えば、少年好きのスタッフに対して、好みに刺さる少年を作って見せ、意見を吸収するなどのやり方です。

 

:社内にはいろいろなジャンルが好きな人が揃っているのですか。

 

松濤:それぞれの部署によって、年齢によっても違います。さらに社内でコミュニケーションが取れるので、より熱意が高まります。

 

:たしかに自分の思想が盛り込まれたキャラクターがいることでテンションも上がりますよね。

 

襟川:私は聞かれたことがないので、次回作ではぜひお願いします(笑)。

 

会場:(笑)。

 

 

――:それでいろいろなフェチを盛り込んだキャラクターが生まれるのですね。そういうときは、会議でたくさんの人を呼んで行うのですか。

 

松濤:基本的には1対1が良いと思います。恥ずかしいというのもありますし、仲の良いスタッフ数人同士の方が盛り上がります。大人数だと遠慮してしまうので、本当に狙っていることからはズレていきます。

 

――:聞き出し方はフラットなのですね。

 

松濤:社内のメッセージツールで「今から行っていい?」みたいな感じです(笑)。

 

――:現場の温度感は話しかけやすい環境を作られているのですね。

 

松濤:同じ建物の中で、そういったところは緊密にやれていると思います。

 

――:では次の質問です。IPを広めるためにメディアミックスやプロモーションなど、ゲーム以外の部分での展開の思想を教えてください。

 

松濤:IP自体を広げていくにあたり、先日『遙かなる時空の中で3』を題材とした2.5次元舞台を開催し、そのDVDも発売される予定です。そうした機会からIPを知っていただくことは今後さらに重要になります。その一方で、私はブランドイメージを損なう、お客様をがっかりさせる展開は、いかに広がるからといってもやってはいけないと思います。

 

襟川:私としては、直感的に良いなと思ったものは自分から提案をしに行きます。ファンをどれだけ喜ばせるかのほかに、どれだけ驚かせるか、感動させるかを考えながら、今までやったことがないものにも挑戦しています。ここ最近だと結婚式場とコラボしました。

 

――:フットワークが軽いですね。

 

松濤:この間『金色のコルダ』15周年記念で弦楽器の情報誌「サラサーテ」さんにもお話をして、表紙に載せてもらいました。

 

:展開先のクオリティチェックもご自身でやられているのですか。

 

松濤:基本的に自分が見させていただいています。

 

襟川:私も「次世代を育てましょう」と皆に言っているわりには、自分でやってしまっていますね(笑)。

 

:僕はマネジメント側の人間としてそういうところは任せているので、気になっていました。

 

襟川:長年やっていると、これは現場の人に任せて大丈夫だとか、この子に任せれば大丈夫だという肌感覚がわかってくるので、全部は任せないですけど一部を任せることはあります。

 

――:『夢王国と眠れる100人の王子様』はこういう展開についてはいかがですか。

 

:いくつかやらせていただいています。先ほどお話したコアバリューを大切にした上で展開ができるかを重要視しています。また、その時のトレンドに合った方法を使っていければなと思っています。ゲームとの連動性も気にしていて、外の展開からゲームに戻ってきてもらって、最新の情報をキャッチアップしてもらうことなどを意識的につなげていきたいと考えています。

 

――:ちなみに IPの監修者の後任はどうやって育てていますか。

 

襟川:これは単純な答えで、作った人に頑張って育ててもらうしかないです。そのタイトルをどうやって作ったのか、そのキャラクターをどういう思いで作ったのかは本人にしかわからないので、部下にはちゃんと伝えてもらわないといけません。

 

松濤:いざ続編を作るときに、いきなり引き継ぐことは不可能だと思います。後継者として見込んでいる方と一緒にIPを作ることが大事です。分厚い台本量を何もなく一気に理解して、そのバックグラウンドを共有することは難しいです。実体験として一緒に経験することが重要で、それも1タイトルではなく複数タイトルを一緒に作り理解し合うこと、あるいはその方の好きなもので少しずつ力を発揮してもらうことが大事だと思います。

 

:弊社でも後任を育てることについてとても悩ましく思っています。後任に伝える際はプレゼン資料のようなものを作るのか、ご飯を食べながら言葉で伝えるのか、どのようにされていますか。

 

松濤:相手も人なので、その方に合わせることが大事です。フランクに接することが好きな人もいれば、具体的にここはこうする、というコミュニケーションの方が困らなくていいという人もいるので、相手に合わせた形が良いのかなと思います。

 

:すばらしい、素敵な引き継ぎ方だと思います。襟川さんはなにかありますか。

 

襟川:理想的なやり方はこれですよね。時間をかけられる状況であれば良いですが、そうでない場合もあるので、ある程度の資料を残すことは大切です。共通で作るタイトルであれば、認識として覚えておいてほしい、心にとめておいて欲しいことは常日頃から話すようにしています。なるべく短い時間で次世代を育ててほしいというのが本音ではありますが、なかなか難しいところです。

 

松濤:そのうえでは最終的な設定ではなく、どうしてこうなったのかという変遷があるのが理解するためには重要だと思います。

 

:それぞれを吸収していくと、資料を残していきつつ、その人にあった育て方をしていく必要があるのかなと思いました。

 

――:最後に、今後の女性向けゲーム業界市場と、ルビーパーティーとジークレストの今後についてお話をお聞かせください。

 

:ジークレストはスマートフォン向け女性向けゲームの市場でNo.1を目指したいです。いろいろな女性向けゲームアプリが出てきている中で、各タイトルを見ていくとIP、キャラクターなどが注目されがちですが、それだけではうまくいかない時代になってきていると思います。IPづくりはもちろん、ゲーム性とセットで面白いものを作れるかがカギになってくると思うので、両方をバランスよく作っていきたいと思っています。

 

襟川:私もまさにそこは大事だと思っています。弊社で女性向けゲームとして初めて作った『アンジェリーク』も、恋愛とゲームの要素が面白いかを大事にしていて、両立させて作ってきています。先ほどのプレゼンでもアプリを作るという話をしましたが、アプリでもゲームとしても面白いものを目指して作っています。家庭用でもアプリでもそこは大事にしていきたいですね。私たちも女性向けゲーム市場No.1は目指していきたいと思っています。

 


 

会場からは惜しみない拍手が送られて、パネルディスカッションは幕を閉じました。

 

その後懇親会が開かれ、コミュニケーションの場となりました。ジークレストでは今後も女性向けゲーム業界の発展を目的とした取り組みを行っていくそうなので、興味がある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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