『アイドリッシュセブン』など数々のヒット作を手掛けたギークスの新会社「G2 Studios」 強みとなる運営力 – Sp!cemart News

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『アイドリッシュセブン』など数々のヒット作を手掛けたギークスの新会社「G2 Studios」 強みとなる運営力

『アイドリッシュセブン』『ツキノパラダイス。』『LibraryCross∞』など、数々のスマートフォン向けゲームアプリの開発・運営を手掛けてきたギークス株式会社は、2018年5月1日、事業展開のスピードを加速することを目的に、ゲームに特化した新会社「G2 Studios(ジーツースタジオ)株式会社」を設立しました。

 

G2 Studiosでは、大手のライセンサーやゲームメーカーと連携するパートナーシップ戦略をとり、デベロッパーとしてのノウハウ・強みを生かしていくとのことですが、設立後の組織体制、マインドには何か変化はあるのでしょうか。

 

「Sp!cemart News」では、同社の代表取締役社長である桜井敦氏にお話を伺う機会を得ました。話を聞いていくと、女性向けゲームでヒット作を創出する組織体制をはじめ、同社が提示する“運営力”の重要性など、G2 Studiosの強みを窺い知ることができました。

 

 

 

開発力も然ることながら運営力の強みへ

――:G2 Studios は2018年5月に設立されました。これまでギークスのゲーム事業本部として企画・開発・運営されてきましたが、そもそも事業を承継する形で新会社を立ち上げた経緯について教えてください。

 

ご存知かもしれませんが、ギークスはゲーム事業をはじめ、IT人材事業や動画事業など、多岐に渡る事業を展開している企業です。ポートフォリオ経営を強みとしており、幸いなことに各々の事業で成果を上げている反面、企業としての柱、言わば不明確なブランディングに陥るのではないかという懸念点を抱いていました。実際にギークスの採用面接に訪れる方から、「ゲームもやっているのですね?」と質問されたこともありました(笑)。

 

 

――:規模が大きくなるにつれて、企業としての柱がぼやけてしまった、と。様々な事業で成功を収めることは健全な経営ですが、そこをあえて切り離し、個々の事業におけるブランディングを目的に設立されたのですね。

 

それもありますが、一番の狙いは意思決定のスピードを加速させることです。組織として近い距離感でジャッジできるのは、業務改善はもとより、コンテンツの質を向上させるためにも重要なアクションのひとつです。グループ会社のNexSeedも同様の理由で子会社化しました。

 

 

――:改めてG2 Studiosの強みについて教えてください。

 

弊社には、主に3つの強みがあります。

 

1. 大手のライセンサーやゲームメーカーとのパートナーシップ

大手企業と連携し、デベロッパーとして各社のノウハウ・強みを生かし、より大きなシナジーを生み出すことを狙いとしている

 

2. 企画から運営まですべて完結できる開発体制

ゲーム企画から運営工程まで、タイトルごとのチームで完結可能な「プロジェクト体制」をとっている。企画やエンジニア、モーション・エフェクト、デザイナーなど、他職種メンバーとスムーズに連携し、開発

 

3. 実績豊富なITフリーランスのネットワーク

グループ会社であるギークスのIT人材事業において、15,000名を超えるITフリーランスネットワークを構築している。開発・運営する中で、さらに人員やハイスキル人材が必要になった場合、このネットワークを活用してアサインできる

 

なかでも女性向けゲームやリズムゲームに関するノウハウは、かなり蓄積されていると自負しています。また、現在開発中の新作女性向けゲームは、少し変わった見せ方に挑戦しています。引き続き、ここは強みとして伸ばしていきたいと思っています。

 

 

一方、今後G2 Studiosの中で第2、第3の柱となるゲームを開発していければと考えています。それこそ、ひとつのジャンルや世界観に固執せずに、様々なコンテンツを手掛けてまいります。また、ブラウザやネイティブ、スマートフォンやコンシューマなど、プラットフォーム問わず積極的にチャレンジしていきます。ここに対しては、開発スタッフ一同、非常にモチベーション高く持っているので、今後展開していければと思っています。

 

 

――:そういう意味では、デベロッパー・パブリッシャーという枠にとらわれず、と。

 

えぇ。そもそもデベロッパー・パブリッシャーというのは、単純に役割の幅だと思っています。たとえば、デベロッパーは「言われたものをしっかり作る」というイメージが強いかもしれません。ですが、我々の役目は、質の高いゲームを開発し、運営して伸ばしていくことで、そのためには企画がまだ草案の頃から携わるようにしています。

 

運営することを見据えるため、企画段階からスムーズな運営が行えるような設計などをパブリッシャーと一緒に手掛けることができるのです。そういう意味では、弊社としてはあまりデベロッパーという感覚でやっていないというのが正直なところですね(笑)。

 

昨今はプロモーションが中途半端だとゲームは売れません。体制が影響して、プロモーションに満足の行く予算と工数がかけられないのであれば、きちんと役割を明確化し、潤沢な予算と多様なチャネルを持つパブリッシャーが担うほうがいいと思っています。お互いの強みと役割を明確化し、実行していくことが大切かもしれません。

 

 

――:パブリッシャーとしてもそこまで介入してくれるのは安心できると思います。パブリッシャー、デベロッパー。役割はそれぞれですが、デベロッパーとしてのG2 Studiosの特徴について教えてください。

 

発注していただくパブリッシャーからは、顔が見える立ち位置にいたいと思っています。開発中のあるあるネタかもしれませんが、「発注したけども、α版→β版と進んでいくうちに、とんでもないものが出来上がっていた」などといったことが起こらないよう、開発中のホウレンソウ(報告・連絡・相談)は当然徹底しています。リリース後の不具合が起きた場合、どのような策を取るのかなども含め、逐次進捗が分かる、まるでガラス張りのような開発現場が評価いただいている点かと思います。

 

 

――:先ほど3つの強みを挙げていただきましたが、なかでも運営力は期待されているところのひとつではないでしょうか。

 

そうですね。当然作ることも大変ですが、リリース後、ユーザーに長く遊んでもらうかも同じように重要です。運営力向上のために、マーケティングやデータ分析などにも力を入れて、色々な情報を最大限に獲得しています。実際に企画・開発、そして運営を担う我々のような立ち位置こそ、余計に必要なのではないかと思っています。

 

 

――:仰る通り。最近はクオリティの高いゲームがたくさんあります。しかし、気付けば半年でサービス終了を迎えるタイトルも珍しくありません。この時代だからこそ、運営力は求められているのでしょう。桜井さんの中で、運営に関して最低限ここには気を使っているなど、共通して大切にされていることはありますか。

 

ひとつは、Twitterをはじめ、あらゆるメディアから、つねにユーザーの声をキャッチしていくことです。わずかなほころび、小さな傷が発見されたときには、即座にパブリッシャー側と共有しながら、ことが大きくならないように問題を未然に防ぐように努めています。仮に問題が起こってしまった場合でも真摯に受け止め、迅速に次のアクションに進めていきます。

 

また、ユーザーに楽しんでもらうことは大前提ですが、あまり運営の押し売りにならないように心掛けています。「我々が作りたいからやっている」……というような自己満足の世界に陥ってしまうと、大事なメッセージを見逃してしまう恐れがあります。ユーザーが欲しいもの、改善してほしいものを、きちんとキャッチアップしていく努力を今後も続けていきます。

 

 

――:G2 Studiosにはどのようなスタッフの方がいらっしゃいますか。

 

G2 Studiosには現在150人ほどのスタッフがおります。何より全員に共通しているのは、 “楽しんで作っている”ことですね。特に若いメンバーは、強制しなくとも自然に勉強会に参加したり、興味のあることに対して真摯で素直だったりと、育てがいのあるメンバーが多いです。あとは困っていることがあれば助け合ったり、意見を出しやすい環境であったりと、お互い信頼しているメンバーが比較的多いのではないかと思います。

 

 

――:なるほど。たしかに御社では、勉強会も積極的に開催されていますよね。

 

はい。プランナーやエンジニア、デザイナーの勉強会は定期的に行っています。組織としては、あまりピラミッド型の階層を作っておらず、最近の言葉でいうと“ティール組織”のようになっています。つまり、ひとつの課題に対して、集まった有志で解決する……そのような動きです。ですので、新しいツールの最新情報を伝えたい者がいれば、自発的に勉強会が催され、それらを活用して業務改善やクオリティの高いコンテンツを生み出したいと考える人たちが自然と集まりますね。

 

 

――:分かりました。2018年5月にG2 Studiosが設立されましたが、今後どのように取り組んでいかれますか。

 

弊社では「アソビ創造集団。」というテーマを掲げています。エンターテインメントコンテンツを提供しているため、作り手側が楽しんでいないと、そもそも良質なものは生まれません。“やれと言われたからやる”ではなく、自発的に“楽しいものを作りたい”という思想を大切にしています。もちろん、そこにはビジネスとのバランスもありますので、スタッフにはギリギリの調整のなかで楽しんでほしいですね。

 

そのほか、仕事以外で遊ぶときは“全力で遊ぶ”ということをスタッフには伝えています。制度作りに関しても、普通の企業があまりやらないことも積極的に取り入れています。それらの制度をフルに活用して、自分たちがインプットすることで、自ずとゲーム開発に活かされていくものであると考えています。

 

 

――:ありがとうございました。

 

 

 

▲Sp!cemartでは、ゲーム企業に向けた勉強会を開催しています。「Sp!cemartカレンダー」を用いたアプリ分析をはじめ、「マーケットトレンドレポート」から独自で調査した市場動向を共有するなど、その内容は多岐にわたります。

 

 

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