『ラングリッサーモバイル』の成功とIPライセンスビジネスの未来 – Sp!cemart News

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『ラングリッサーモバイル』の成功とIPライセンスビジネスの未来

イー・ガーディアンは、グループ会社であるトラネルと連携し、2019年8月8日(木)に「ファン創出型マーケティングセミナー」を開催。ゲーム開発者・販売会社を対象に、ゲームファン創出のノウハウを共有する目的で行われました。

 

はじめに「『ラングリッサーモバイル』の成功とIPライセンスビジネスの未来」というテーマでエクストリームの佐藤昌平氏が登壇。その後のパネルディスカッションとして、X-LEGEND ENTERTAINMENT JAPANの陳建文氏、アカツキの窪田真太郎氏、KLabの柴田和紀氏の3名が登壇した。

 

 

『ラングリッサーモバイル』の成功とIPライセンスビジネスの未来

▲ 株式会社エクストリーム 代表取締役CEO 佐藤昌平氏

 

2018年8月、『ラングリッサーモバイル』が中国パブリッシャーの天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(北京市、以下「紫龍」)にライセンスアウトする形でサービスを開始すると、いきなり中国アプリストアのDLランキングで1位を獲得。さらに中国App Storeのセールスランキングでは5位にランクインした。

 

中国市場ではテンセントやネットイースなどが上位を占める中、ここまでのヒットが生まれた要因について、佐藤氏は語りました。

 

『ラングリッサーモバイル』とは……シミュレーションRPG『ラングリッサー』シリーズの新作スマホ向けアプリ。もともと同シリーズは、1991年にメガドライブで第1作目が発売され、戦略性の高いゲームシステムのほか、豊富な恋愛要素など、幅広いファンから支持を得ている。

 

『ラングリッサーモバイル』はその後も台湾・香港・マカオの各地域でセールスランキング1位を記録するなどアジア諸国で大ヒット。もともと『ラングリッサー』は、第1作目が発売された当時から中国国内でも好評で、現地のファンがわざわざ秋葉原に買いに来るほどの人気でした。そのため、東アジアにおいて『ラングリッサーモバイル』が売れることは予想できていたのだそうです。

 

▲台湾ではTVCM、リアルイベント、食品メーカーとのタイアップなどのさまざまなプロモーションを実施。『ラングリッサー』を知っている層に向けて、確実に訴求できる取り組みをしています。

 

しかし、そもそもなぜ日本より先に中国で展開することを選んだのでしょうか。それには、『ラングリッサー』などの長年愛されるタイトルゆえの課題がありました。

 

古くからのファンが多い日本においては、ファンにとってこうあるべきだという“ラングリッサー像”が確立されており、そのひとつはうるし原智志氏が務めるイラストでした。現在はうるし原智志氏のテイストを残した形で、別人が担当しています。

 

ファンが満足しつつ、新規層にも広めていく過程で、『ラングリッサーモバイル』の魅力が伝わりきらないことが懸念された、と佐藤氏。そこで、中国で成功した実績をつくることによって、受け入れられやすい環境を作るという逆輸入の形を取りました。

 

▲結果、日本・韓国でもヒットを記録し、ファンと新規の垣根を超える訴求ができたと言えます。

 

中国で展開するうえで、ライセンスアウト先に選んだのは紫龍でした。佐藤氏はその理由に紫龍の社長・王 一(ワン・イー)氏の“ラングリッサー愛”を挙げました。王氏は現在主流になっているリアルタイムストラテジーではなく、『ラングリッサー』シリーズのヘックス型ストラテジーをそのまま採用することを主張。

 

リアルタイムストラテジーは飽和状態になっていることも含め、現地マーケットの理解と“ラングリッサーらしさ”を理解している点で、IPタイトルに対する愛情を感じたと佐藤氏は語りました。

 

また、現地の行政への高い対応力についても着目。中国では版号と呼ばれる政府の許諾を取得しないと配信ができませんが、版号の審査が凍結されてしまう時期がありました。『ラングリッサーモバイル』は、王氏が早い段階で版号を取得したため、無事に配信することができたのだそうです。こうした行政との付き合いは、中国においてはかなり重要な点になります。

 

これらを踏まえて佐藤氏は、中国をはじめとするグローバル市場での“ファン”創出のパートナーとして適任だと判断したと説明。

 

こうしたライセンスアウトビジネスを通して、現在のコンテンツビジネスにおけるIPビジネスの位置づけを「創作、開発、販売を一気通貫でやるモデルから、「世界観」を管理しながらライセンシーと協業するモデルへ」とした佐藤氏。エクストリームが持つ価値観として、それぞれが得意な分野に特化し、協業していくというスタンスを取っています。

 

▲どの地域においても、映画・放送・アニメ・マンガ・音楽・ゲーム・キャラクターといったコンテンツビジネスは伸びていくと予測されています。

 

IPをまず生まなければいけないという前提はありますが、その後の“IPをどう展開していくか”を考えることが今後必要になると佐藤氏は語りました。そのためにはやはり、それぞれの分野のプロと組み、考える必要があります。

 

そして、IPを育て、管理し、事業化するためのポイントについて以下のようにまとめました。

 

・個別IPの可能性、ライセンシーの見極め

IPが活躍できるフィールドはそれぞれにあり、SNSの展開の仕方、アニメやゲーム、マンガなど、どのジャンルに向いているのかという観点。人が生み出すものをどうやって目に触れさせるか、どこで活躍できるかを考えることが重要です。

 

・海賊版対策

『ラングリッサー』のような大規模なタイトルなどは模倣した作品についてどうしていくか。また中国では『夢幻模擬戦』というタイトルで流通しているように、海外表記の商標などについて、対策が必要です。先にタイトルの商標登録をされてしまう問題なども起きています。

 

・各国事情(政治、法令、文化)の研究

中国ではライセンス料は租税を取られるなど、海外とお金のやりとりをする際は契約書に細かく記載することが重要。

 

最後に、最重要事項は「コンテンツへの愛」であると佐藤氏はまとめました。コンテンツを成功させるための執念(=愛)が最も大切だと説き、講演が締めくくられました。

 

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