中国ゲーム市場の現状 「Alibaba Cloud Gaming Event」第四弾を取材#4
アリババクラウドは5月29日(水)、「Alibaba Cloud Gaming Event」第四弾を開催。「中国市場と日本市場スマホゲームの違いと現状」をテーマに、トークセッションが行われました。
本稿では、IGG Japanの森岡夢信氏が登壇したセッション「中国ゲーム市場の現状」の様子を紹介。今回、唯一の中国企業からの登壇者ということで、中国企業ならではの視点からトークを展開しました。
▲IGG Japan Marketing & BD Manager 森岡夢信氏
中国でゲームアプリを出す際には、以下のライセンスを取得しなければなりません。
① 文化部インターネット文化運営許可証
② ICP:ICP登録&ICPライセンス
③ 著作権証明書
④ ゲーム版号:審査文号と国際標準号(ISBN)
⑤ 文化部ゲーム登録
この中でも特に大変だと言われているのが④の、版号の取得になります。版号とは、政府の方針を反していないかチェックするもので、審査期間が長く費用もかかります。版号には種類があり、カジュアルゲームに関しては第三種類、コアなゲームは第四種類が該当します。
【版号の種類】
第三種類:申請期間約3ヶ月、費用8,000人民元(132,000円)
第四種類:申請期間約6ヶ月、費用12,000人民元(200,000円)
なお、申請期間は目安であるほか、海外ゲームに関しては6ヶ月以上かかるとのこと。
▲それぞれの申請先には細かいルールが記載されており、変更点の確認漏れがないように慎重にチェックを行っているそうです。
「中国の会社にとって、政府とのリレーションは大切な要素」と森岡氏。政府から直接通知が来ることもあるようで、良好な関係を気付いておくことがスムーズな申請に繋がります。
また、版号が一時期凍結され、ゲームが出せない時期がありました。日本では2018年7月頃に話題に上ったことですが、実は2018年3月の組織改編にあたって版号が発行されなくなりました。なお、再開したのはそれから9か月後の2018年末のことです。こういった問題はよくあることで、中国の会社にとっては「またか」という感覚であるようです。
▲中国では現在、モバイルゲーム市場が2兆円を突破しています。ただ、成長率でいうと鈍化傾向。
中国市場における人気のゲームジャンルはMMORPGやMOBAが上位を占めている状況です。
▲『王者栄耀』(MOBA)、『夢幻西遊』(MMORPG)などのタイトルが人気に。
さらに最近の動きとしては、「二次元」というジャンルが上昇傾向にあるとのこと。中国では、日本のかわいい女の子のイラストなどが使われているものを「二次元」というジャンルで親しんでいます。
▲3年前と比較すると、「二次元」が急激に伸びていることがわかります。
年代毎の動きでまとめると、2000年代はPCゲーム中心に国内外のMMORPGが流行り、2010年代はPCで流行ったMMORPGがスマホにシフトしていったほか、アニメタイトル(二次元)などが増加していきました。
アニメタイトルに関しては、2015~2016年に日本のタイトル中心に急激に発展し、2017年以降には国産のタイトルが増加。『アズールレーン』など、中国のタイトルが日本で流行る動きも見せています。
▲2018年には女性向けタイトルが売り上げ2位を取るという現象も起きました。
「二次元」ジャンルを好むのは1990年代の若者世代であり、今後所得が増えるにつれ、売り上げはまだまだ伸びていく可能性があるそうです。そのほか、『Game of Thrones』などの海外IPが注目され、これからも増加することが考えられるとのこと。
さらに、アクションスターのジャッキー・チェンを起用した結果、大きく売り上げを伸ばした事例が出てきたことから、多様化する中国市場においてマーケティングの重要性も高まってきているのだとか。
最後に、森岡氏は「中国企業と協業を考える際は、日本以上に“~べき論”は止めた方が良い」等の実践的な留意点をアドバイスし、セッションを締めくくりました。
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