定量と定性の2軸で考えるグロースハック 「Digital Consumer Summit 2019」を取材#2 – Sp!cemart News

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定量と定性の2軸で考えるグロースハック 「Digital Consumer Summit 2019」を取材#2

セガゲームスは「Digital Consumer Summit 2019」を2019年6月7日(金)に開催しました。事業担当者、マーケティング担当者を対象に、「顧客体験の向上」をテーマとしてセッションが行われました。本稿では、セッション「コンシューマー体験価値のためのグロースハック」の様子を紹介

 

【登壇者情報】

<モデレーター>

▲株式会社電通デジタル コミュニケーションデザイナー 大橋誠也氏

 

<スピーカー>

▲株式会社17 Media Japan デジタルマーケティングスペシャリスト 渡慶次道行氏。株式会社ライブドア、LINE、ミクシィとIT大手企業でWEBマーケティングに従事。現在、全世界で4,000万ユーザーを突破しているライブ配信アプリ『17Live(イチナナライブ)』の運営にジョイン。

 

▲Amplitude,inc.Japan Japan カントリーマネージャー 米田匡克氏。ユーザーの行動を予測し、「マジックナンバー」も自動抽出するプロダクトアナリティクス「Amplitude」の初代カントリーマネージャーに就任。分析基盤の提供および、コンサルティングを行う。

 

 

定量と定性、2軸で考える

はじめに話題として挙がったのは、とある食器乾燥機の例。実はレビューサイトを覗いてみると、食器乾燥機が“プラモデルの乾燥ブース”として購入されていたことが判明。こういった事象を、定量と定性の2軸からそれぞれ分析していきました。

 

▲レビューサイトからの引用。

 

前述の例は、企業側の提案する顧客体験に対して、ユーザーが別の価値として受け入れていたと言えます。こういったギャップは往々にしてあるものだと渡慶次氏は説明。この、企業と顧客のギャップを認識するために、マンツーマン形式で1時間ほど掛けてユーザーインタビューを実施しているそうです。

 

その際、体験価値のギャップを埋めるだけではなく、どういったところがサービスのコアバリューとなっているか、どういう機軸でプロモーションを打ち出していけば良いかを含めて確証をつかむことを目的としていると補足。ユーザーの考えは十人十色なものの、コアな部分を突き詰めていくと、どういうところが面白いのか、というベネフィットは集約されていくのだとか。

 

渡慶次氏は、「対面で話すことでしか得られない熱量や、言葉の裏にあるサービスへの願望をすくい上げることが重要です」と語りました。

 

米田氏は「Burbn」というアプリを例に、定量的な分析からUX(顧客体験)を改善し、爆発的な普及を果たした例を紹介。

 

Burbnとは、現在の「Instagram」の前身に当たります。写真機能付きの位置情報アプリだったBurbnは、ユーザーがすぐに去ってしまう状況でしたが、数名のユーザーが写真の共有に利用していることに着目。写真に特化したものにピポット(方向転換)することで、現在のように世界中で利用されるアプリになりました。

 

定量分析において大事にしていることを大橋氏に尋ねられると、米田氏は、「Amplitudeではリテンションに重きを置いている」と回答。

 

Amplitudeでは、リテンションを「アプリの起動」で見るのではなく、「クリティカルイベントが実行されたか」で見ているそうです。アプリを起動しただけの人と、クリティカルイベント(コンテンツを再生した、漫画を見た、など)を実行した人の差分で原因を分析し、それを繰り返していくことでリテンションが上がっていくとのことでした。

 

データサイエンティストがクエリを書く方法だと1~2週間のPDCAサイクルになるのに対し、分析基盤を入れるとサイクルを5~10分に狭めることも可能になり、より分析回数を重ねられ、深く顧客行動を見出すことが出来るようになると米田氏は語りました。

 

渡慶次氏はクリティカルイベントに、「どういうエモーションで達するのか」というプロセスを重要視。定量と定性を掛け合わせた検証をしています。そのため、社内でもチームをまたいだ取り組みになってくるため、難しい要素でもあります。

 

組織をまとめる手法として、「シリコンバレーではノーススターメトリックという新しい手法がある」と米田氏。ノーススター(北極星)という“ブレない”メトリック(指標)を導き出すという考え方です。ユーザーがサービスを気に入ったときに起きるバリューエクスチェンジに着目し、企業側の提供しているサービスの本質的な価値を探していきます。

 

ノーススターメトリックを見つけるには、社内で長い時間を費やして議論することが重要で、失敗してしまうと実態にそぐわないメトリックになってしまいます。例えば、アクティブユーザーなどは広告やプッシュ通知、ログインボーナスなどで上がるため、メトリックにはなり得ません。米田氏は「ノーススターメトリックを見つけ、何が経営指針になるのかを理解し、KPIを取り出していくことが大切です」とコメント。

 

定量と定性の軸から、どう目標を立てていくのか。大橋氏は「2つの軸を結合させ、目標をしっかり立てて方針を定めることが重要です」とまとめました。

 

グロースハックの立場から、定量的、定性的な分析手法が提示されたセッションとなりました。ノーススターメトリックなど、気になるワードも飛び出しました。

 

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