「各国の市場動向やタイトルを肌感覚として体得」…バンダイナムコエンターテインメントのゲームアプリ海外展開 – Sp!cemart News

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「各国の市場動向やタイトルを肌感覚として体得」…バンダイナムコエンターテインメントのゲームアプリ海外展開

株式会社バンダイナムコ エンターテインメント

NE事業部 プロダクションディビジョン NE多言語対応課

マネージャー

小暮 聡 氏(写真左)

 

株式会社バンダイナムコ エンターテインメント

NE事業部 プロダクションディビジョン NE多言語対応課

櫟 聡志 氏(写真右)

 

 

昨今、数多くのゲームアプリがリリースされるなか、海外展開を視野に入れる企業も増えてきました。一口に海外展開といっても、ゲーム内のテキストを各国の言葉に変えるローカライズはもちろん、現地のプレイヤーの思考やトレンドを考慮してUI(ユーザーインターフェース)を改良するカルチャライズなど、様々な施策を行わなければなりません。

 

本稿では、株式会社バンダイナムコ エンターテインメントのゲームアプリの海外展開を担う「NE事業部 プロダクションディビジョン NE多言語対応課」にインタビューを実施。IPタイトルをはじめ 、数多くのゲームアプリを保有する同社において、いかにして海外展開を進めているのか、また「Sp!cemart」のサービスの活用方法についてもお聞きしてきました。

 

 

バンダイナムコエンターテインメントに訊くゲームアプリの海外展開

 

――:本日はよろしくお願いします。はじめに「NE多言語対応課」という部署についてお聞きしたいと思います。具体的にどういうことを行う部署なのでしょうか。

 

小暮聡氏(以下、小暮): NE事業部は、バンダイナムコエンターテインメントの中で、モバイルビジネスを担当している事業部です。そのなかで海外展開をするにあたり、海外事業展開支援を担うのが「NE多言語対応課」になります。

 

言語ローカライズは勿論の事、リリースする国(市場)や、どの言語に対応すべきかを調査するなど、海外展開において必要となる情報を先んじて調査・提案するチームです。たとえば、「この国ではこういう進め方がいい」「このタイトルは英語でリリースしよう」など、判断材料をそろえたうえで海外展開における事業戦略を練るのも我々の役目となります。

 

 

――:御社のゲームアプリは、本当に数多くのタイトルがあります。日本のゲームアプリ市場は、競争も激しく成熟化しているなか、やはり海外展開は積極的に進めているタイミングなのでしょうか。

 

小暮:そうですね。もちろん、日本市場が要になりますが、それと並行して事業規模を広げていくためにも、やはり海外展開は重要視しています。海外でタイトルをリリースするには、アプリストアの管理画面で配信国のチェックボックスを押せば、簡単にリリースすることができます。そういう流通の容易さから、自社(日本)発で海外リリースしていくのですが、だからこそ進め方もきちんと考えないといけません。

 

 

――:ことアプリに関しては、簡単に海外でリリースすることはできます。しかし、少しでも多くの世界中のユーザーに遊んでもらい、率直に「面白い」と思ってもらうには、各国の特徴や需要を事前に調査し、改修しなければなりませんね。

 

小暮:はい。そのため我々のチームでも手を変え品を変え、海外市場の調査や分析に関して様々なツールを活用しています。

 

 

――:言語を変更するローカライズは当然ですが、各国のユーザー特性に合わせて、実際にゲーム内の仕様やUI等を変更する“カルチャライズ”も行うのでしょうか。

 

小暮:ええ。全てではありませんが、臨機応変に対応しています。ただ、何をどこまで改修するのかは、やはりタイトルごと手探りしながら、まだ勉強している段階です。

 

全世界で成功を収めているタイトルのなかには、ワンビルドで十数か国の言語に対応するタイトルもありますが、なかなか出来ることではありませんので、素直に感心してしまいます。言語だけではなくて、ゲームの仕様などをきめ細やかに見て対応していけるのは、事前に配信国の市場をきちんと調べている証拠だと思います。

 

 

 

――:一口にローカライズといっても、単純に言語を変更するだけではなく様々な箇所で気を配らなければならないと思います。何か業務上で気を付けているところなどはありますか。

 

櫟聡志氏(以下、):自社事例がまだまだ多くないので、今後の戦略を練るためにも、やはり他社事例は参考になりますね。たとえば、「Sp!cemart」のカレンダーや各国レポート(マーケットトレンドレポート)をベースに、他社がどのように展開しているのかを見ています。海外展開に舵を切る際には、どうしてもコストや工数がかかりますので、適切に事業をまわしていくためにも、参考にさせてもらうことが多いです。

 

もちろんワンビルドで英語対応するだけでも、ある程度の売上は見込めるかもしれませんが、各国の特徴にあわせて改修を重ねれば、日本以上にセールスランキングで成果を伸ばすことだってあるかもしれません。たとえば、日本より市場規模が小さい東南アジア向けにカルチャライズをしたとしても、首位を獲得すれば数億円の売上にも繋がります。

 

 

 

レポートを通して各国の市場動向やタイトルを肌感覚として体得

 

――:「Sp!cemart」カレンダーや各国のレポートを導入したのは、海外市場の知見を深めるためなのですね。

 

:はい。当初は日本と中国のレポートが中心でしたが、現在は韓国や台湾・香港、そして新興市場の東南アジアをいただいています。正直なところ多大な工数をかければ自分たちで調べることもできるかもしれませんが、やはり言語的なネックがあるほか、何より現地のライターさんが執筆していることで、市場の肌感覚などもダイレクトに伝わってくるのは知見として吸収できるところであり、「Sp!cemart」レポートを導入しているひとつの理由ですね。

 

 

――:各国のランキングやタイトルなどは、たしかに調べれば日本でも見ることはできますが、実際に現地で活動しているライターの視点で執筆されているので、バリューのある内容にはなっていますね。

 

小暮:そうですね。やはり各国の特徴を理解するための材料がないと、事業を円滑にまわすことは難しいです。なかには“海外=日本以外”という捉え方をする人もいますし、海外をひと括りにして「英語で出せばいいじゃん」という考え方をする人もいるなど、社内の意識を改めないといけません。レポートではこと細かく分析されているので、我々もレポートをきちんと読み込んで、各国の市場動向やタイトルを肌感覚として体得する必要があります。

 

いただいているレポートで得た知見は、海外展開に際してほかの事業部を説得する、または根拠となる材料としても活用できますね。

 

 

 

 

▲タイのゲームアプリ市場をまとめたレポート(2016年12月)。ヒットアプリの分析やタイにおけるプロモーション手法も掲載。

 

 

▲また、東南アジアのeスポーツやタイで開催されたゲームショウの現地取材など、多岐にわたる情報をレポートで提供しています。

 

 

――:レポートを通して、何か業務上で役立ったエピソードなどはありましたか。

 

:やはりレポートで初めて知る情報があることです。社内でも国内ゲームに詳しい人は多々いますが、さすがに海外ゲームまで網羅している人は少ないです。海外タイトルがどういう施策をやっているのかなど、「Sp!cemart」カレンダーと併用して参考にさせていただいています。

 

 

 

――:NE多言語対応課として、社内の運営・開発側に対して説明や共有することもあるのでしょうか。

 

小暮:はい。ただ、膨大なページ数のレポートをそのまま渡してしまうと、どこを読んでいいのか分からないと思うので、私たちのほうで抜粋したり、加工したりしながら、分かりやすいように共有しています。なかには実際にレポートを参考にして、運営・開発側でUIや仕様を変更しているかもしれませんが、どちらかというと現段階では社内啓蒙のフェーズかなと思います。

 

担当者としては、日本でリリースしたタイトルを海外展開する際に、国内で固めた指標やUIを変更することにもなるので、どうしても負荷がかかってしまいます。そういう意味でも今後は、“日本発の海外展開”という考え方から、世界配信前提のマインドに切り替えていく活動にも繋げていく必要があるかもしれません。

 

 

――:海外におけるマーケティング部分もみなさんのほうで確認しているのでしょうか。

 

小暮:はい、そうです。直接現地に赴いて調査もしますし、弊社のグループも各チームに拠点があるので、そことの連携を通して情報や協力をいただいています。複合的な手段で海外から取れる情報、それこそユーザーさんの声などは引っ張ってく努力はしています。

 

 

――:御社では、東南アジアなど新興市場のレポートを活用されています。東南アジアのゲームアプリ市場をどのように捉えていますか。

 

:東南アジアはかなりスピードが速く、成長著しい市場であると認識しています。特徴としては、レポートにも書いてある通り、元々PCゲームが盛んで、同じ背景を持つ中国・韓国市場の影響をモバイルゲームも受けているため、まだまだ日本のタイトルが入り切れていない状況です。そこに対してきちんと調査して、どのようにタイトルを展開していくのかを考えなければなりません。

 

小暮:また、ご存知の通り、弊社は有名IPタイトルを数多く展開しています。それらのIPがどの国で受け入れられているのかは、配信地域を決める判断材料にもなります。各国で人気のIPと照らし合わせて、該当タイトルを展開するのにあたり、東南アジアは比較的は親日であることから、弊社が持つIPとの親和性が高いです。日本のコンテンツは受け入れられる土壌があるため、そこにアプローチしていくことが必要です。

 

 

――:本日はありがとうございました。

 

 

(取材・文:原孝則)

 


 

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