『SINoALICE-シノアリス-』プランナー陣が語る アイデアを企画に仕上げる考え方 「ポケロボMeetup#6」を取材 – Sp!cemart News

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『SINoALICE-シノアリス-』プランナー陣が語る アイデアを企画に仕上げる考え方 「ポケロボMeetup#6」を取材

ポケラボは、2019年5月20日(月)にイベント「ポケロボMeetup#6」を開催。「ポケロボMeetup」では、ゲーム制作者向けの座談会と、情報交換ができる懇親会の場が設けられています。第6回目の同イベントは「アイデアをいかに料理して美味しい企画にするか」というテーマで開催されました。

 

登壇したのは株式会社ポケラボ ディレクターの山崎大氏、リードプランナーの三角直也氏、渡邉研氏、シニアプランナーの倉持元季氏の4名。『SINoALICE-シノアリス-』のプランナーという立場から、生まれたアイデアを企画として完成させるための手法を話しました。

 

『SINoALICE-シノアリス-』とは……スクウェア・エニックスとポケラボが共同で企画・運営しているスマートフォン向けRPG。原作・クリエイティブディレクターにヨコオタロウ氏、オリジナルキャラクターデザインにジノ氏、音楽に岡部啓一氏とMONACA氏が起用され、そのダークな世界観が特徴となっています。

 

▲株式会社ポケラボ ディレクター 山崎大氏

 

▲左から株式会社ポケラボ シニアプランナー 倉持元季氏/リードプランナー 渡邉研氏/リードプランナー三角直也氏

 

 

 

シノアリス流 アイデアを実現する手法

ポケロボくん(http://twitter.com/pokerobokun)から挨拶があった後、4名が登壇。本題に入っていきました。

 

 

山崎氏はまず、「アイデアとは思いつき(着想)である」と定義しました。『SINoALICE-シノアリス-』においては、主にプロデューサーの前田翔悟氏およびクリエイティブディレクターのヨコオタロウ氏から降りてくるアイデアを、いかに調理するかがキモになるという。

 

そうしたアイデアの処理フローは通常であれば

 

思い付きを/使用に合うように/落とし込む

 

と考えられますが、『SINoALICE-シノアリス-』制作陣はそうではなく、実際には

 

思い付きを/どうしたら実現できるか/(さらに、)101点のモノにできるか

 

という共通認識になっているのだとか。現行の仕様を完全に無視するわけではありませんが、基本的に仕様に合わせるのではなく、アイデアを実現できる方法を考えるのが最優先事項なのだと山崎氏は説明しました。

 

「自分たち(プランナー)はそこまでクリエイティビティが高いわけではない」と語る山崎氏は、「0から1」のアウトプットに対してリスペクトの気持ちを持つことが重要だと続けました。

 

そして、アウトプットに対して「1から10」の施策にするシノアリス流のやり方を、具体例と共にそれぞれ担当したプランナーが紹介。

 

具体例①「初速で日本の人口を超えてくれ」

 

これは実際にプロデューサーの前田氏の言葉で、バレンタインに実施された人気投票の際、投票開始から数時間後に行われる生放送を盛り上げるために、短時間で1億3000万票を超えてほしいというオーダーだったそうです。当然残り時間は少なく、そもそもDAUが1億3000万もないため、その条件下でどうするかという、一見ムチャ振りにも思えます。

 

 

「めっちゃ開き直ることにしました」と三角氏。投票数の多い他作品のイベントも参考にし、投票券を多く配ることで初速1億9000万票、終了時100億票を記録しました。

 

 

「しかし、開き直るだけではまだ80点」と三角氏は続けました。ゲーム内で頑張った分だけ投票できる仕組みをつくり、ユーザーのキャラクターに対する無償の愛に働きかける方向性に振り切ったそうです。投票券の入手経路を多く作り、遊べば遊ぶほど推しのキャラクターに投票することができる環境を作りました。

 

 

「まだそれでも100点かな」と、三角氏はさらに投票を平等に楽しんでもらうための調整を説明。人気投票にありがちな不満が出にくいように配慮を重ねたそうです。

 

そのひとつとして「とりあえず人気投票画面のファーストビューに投票する」という、ありがちな行動によって得票が偏らないように、ファーストビューに表示されるキャラクターをランダムにしたことを挙げました。そのほか、無課金で遊んでいるユーザーも投票ができるようにデイリークエストを大量に用意し、投票券が尽きない仕組みを制作。

 

 

ムチャ振りを受けるときは、そのアイデアの面白いポイントに振り切ることが重要で、過去の仕様に縛られると振り切ることができない、と三角氏は語りました。そして、参考にできる企画で実施されたり意見が出たりしたものをうまく取り入れることが大事だとまとめました。

 

具体例②「どうしようもないクソ武器 大量に配ることにしました」

 

2018年11月に行われた、シノアリス初のコンサートでの演出と連動して考えられた企画だそうで、“クソ武器”というのはアプリ内でも使われていた名称となっています。

 

当初は5個程度の配布で済ませる予定だったものの、山崎氏が協議の末、上記の「大量」発言をしたという経緯がありました。懸念事項は多々あったものの、方々にヒアリングし、「ネタとしてやりきれば大丈夫だと信じた」と渡邉氏。

 

【実際にお知らせ画面に表示されたもの】

 

 

 

計3回に渡って“不具合”のお知らせを掲載し、文言を都度変えつつ、最後にはお詫び石100個を配布するなど、不具合発生時の対応をしながら「真面目に全力でふざける」という状況を作り出していました。

 

 

渡邉氏はこの企画の大事なポイントとして「半端にやるとただのおふざけで終わりますが、全力でやればコンテンツになると思います」とコメント。

 

具体例③「シューティングとコラボするからシューティングゲーム入れよっか」

 

コラボが決定したタイミングで最初にチームに提示されたのがこの言葉だそうで、『SINoALICE-シノアリス-』はRPGのため、相当なムチャ振りだと言えます。これを実現するには、シューティングゲームを0から作りだす必要があります。なお、チーム内での開発経験はなかったとのこと。

 

そこで倉持氏は、まずシューティングゲームがなぜ流行ったのか、面白いのかを考えるところから始め、再現することを最大限にこだわったと説明。

 

その結果、『SINoALICE-シノアリス-』の攻略サイトにもシューティングゲームの攻略法が掲載されるほど本格的なものになりました。そのこだわりは、自機のデザインからSEのほか、エンドレスステージを用意し、ランキング報酬に特別称号を付与するまでに至り、ユーザーを夢中にさせることに成功させました。

 

山崎氏は「作りこみすぎて、ヨコオさんにも若干引かれたほど」と補足し、会場の笑いを誘いました。

 

 

倉持氏は「ムチャ振りに対して全力で応えることでしか見られない世界がある」と今回の例を振り返りました。

 

最後に改めて、「自分たちはそこまでクリエイティビティが高いわけではない」と前置きしつつも、やり切ること、振り切ること、信じること……といった心構えひとつで、良いコンテンツが生み出せると山崎氏は締めくくりました。

 

この後懇親会が開かれ、『SINoALICE-シノアリス-』のプランナー陣を交えて交流、情報交換の場となりました。ちなみに、「ポケロボMeetup」では唐揚げが出されるのが恒例だそうです。

 

 

 

■『SINoALICE ーシノアリスー』

 

 

 

 

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